その店は静岡は菊川駅近くにポツリとあった。午後からの仕事、地元工務店ささんへ伺う前の腹ごしらえのために店を探していたら、たまたま見つけたのだった。
建物は新築でこじゃれているのに、なぜこんなにボロボロ?と一瞬思ったものの、「わざと」の意思はすぐに分かった。ボロボロっぽく見せてはいるが、おしゃれに丁寧に手を入れていることも、外観廻りに滲み出ている。
店内は店内で、椅子も机もバラバラ、インテリアも統一感がなく“お店の家具やインテリアにお金がかけられないから、どっからかもらってきた物や廃品でいいや”という、まさに下町の昭和のかほりが。
でも、ぐちゃぐちゃであっても、コンセプトというか「バランス」が大事で、それがあ〜た、なかなか難しい。でも、この平成の新築住宅の「ビンテージ」なお店は、おいらの好きな居心地のいい“昭和のかほり”なのだ。
ランチの煮込みハンバーグも旨かったねな。ちゃんと作ってる、って思った。食事を終え工務店さんのところへお邪魔した時に、この店の話しをしたら「うちで建てさせてもらったお客さんのお店なんですよ!」と。いやはや、ご縁ですねえ。
最近はキレイで、いやキレイ過ぎて無菌状態というか、毒気のない街や店が多く、セレブやブルジョアやエリートという方々に好かれるようなところが多すぎる。煙草も吸えないし・・・まあ、ごちゃごちゃした下町の商店街育ちのおいらのひがみ、なんだろうけどさ。旅ガラスで日本全国の繁華街や飲屋街を長年徘徊してるけど、どんどん無くなっていくなあ「昭和のかほり」が。